そして伊良部島・宮古島の運転手たちは語る ~伊良部大橋、海ぶどう、そして「下地さん」

2022年5月9日

「ブルータートル」のピッツァ

3日目の伊良部島。
それまでより少し暖かくて、一瞬日差しが出た時にプールで泳いだりして、ランチは渡口の浜にあるレストラン&バー「ブルータートル」で美味しいピザを食べて、夕方には恒例の「サンセットディライト」でシャンパン飲み放題・・・という1日だったのですが、今回は夕食に向かうタクシーの話から始めます。

宮古島の運転手はよく休む・・・?

1日目に続いてこの日は宮古島中心部の、ライブがあるお店を選びました。

ホテルから乗ったタクシーの運転手はその日、ピンチヒッターで駆り出されたのだそうです。
宮古島では、「子供の行事があるから」とか「地元の集まりがあるから」といった理由で休む方が多く、まだ若く独身と思しきその運転手は、臨時で出勤することが多いとか。
「ほんとにみんな気軽に休むんですよねー」とぼやきつつ、そんな理由で仕事をするのも悪くない、という表情でした。

かなりフランクな方で、今夜の行先である料理店については「観光客の多い店ですね・・・」と、何となくネガティブなご指摘。「2件目は〇〇がいいですよ」と勧めてくれたのも、1件目の店では満足できないだろうとの読みだったのでしょうか。

実際に行ってみたその店は、ライブを売りにしているのですが、初日の「喜山」とは違って、比較的観光客にもよく知られた曲・・・「花」とか「島人ぬ宝」とかを歌ったり、エンタメに徹しているところでした。
途中、お客さんに順番に「どこから来ましたか?」と聞いていくのですが、実に全組が県外からの観光客。飲み物も食べ物もそれなりにおいしかったのですが、地元の人にしてみれば、あまりお勧めできないところなのかもしれません。

この日のタクシーに限らず、伊良部・宮古島でご一緒した運転手さんたちは、本当にいろんなことを話してくれました。

到着直後に乗った車の運転手が教えてくれた宮古島の豆知識・・・ 私たちが連日食べている、あの「海ぶどう」は宮古島で最初に発見されたんだそうです!
島から流れ出る川の水と海の水が混じり合うところに生育していて、非常に美味なのだとか。
「ぜひ宮古島で新鮮な海ぶどうを食べてって」と誇らしげな運転手さん。

伊良部大橋の長さは「サンゴノシマ」とおぼえる

伊良部大橋の一番高いところから宮古島を見る

彼らにとって、特に思い入れがあるように思えたのが、やはり何度も行き来する伊良部大橋のこと。
皆さん、橋自体の長さ3540mと、取り付け部分も含めた全長の4310mをセットで教えてくれます。長さ3540mは語呂合わせで「サンゴノシマ」なのだとか。個人的には「サンゴシオー(珊瑚礁)」のほうがわかりやすいと思いましたが・・・

ちなみにある運転手によればこの伊良部大橋、本当は今の片側1車線に加えて歩道も作られるはずだったのが、着工後に起きた東日本大震災によって、建築のためのリソースが足りなくなったため、歩道は作らずに路肩だけになったそうな。
後でネットで調べてもそういう話は出てこないので、もしかしたら都市伝説(島伝説?)なのかもしれません。

何はともあれ、3.5㎞の道が伸びる姿は本当に美しく、改めて、天気が良かったらなあ・・・と思わざるを得ませんでした。(そればっかりですが)

ところでこの橋、真ん中が盛り上がっていて、その下を船が通れるようになっているんですが、コロナ禍前の宮古島には、とても橋の下を通り抜けられないような巨大なクルーズ船が訪れていたんだそうです。
これもまた、いろんな運転手さんが口にする話題です。

宮古島の平良(ひらら)港にはそういう大型船が直接、着岸できないので、そこから小型船で客を運んでいたようですね。このクルーズ船の観光客は宮古島に宿泊することなく、昼間に上陸して夜には船に戻って去っていったそうです。
「クルーズ船の観光客はマナーが悪かった・・・」というのが運転手たちの共通認識で、コロナ禍でクルーズ船が来なくなり恐らく商売としては苦しくなったんでしょうが、どこかホッとしているところもある・・・ そんな複雑な感情も垣間見えました。

宮古島ならではの名前 あの元議員もタレントも

もうひとり面白かったのは、宮古ならではの名前について語ってくれた運転手さん。(「実名」を出さないと意味がないので出してしまいますが・・・)
「私の場合、名前ですぐ宮古だとわかるんです」と言うので、助手席の前のプレートに書かれている名前を見ると、「下地」さん。

下地、上地、下里、上里、というのが宮古島特有の名前だといいます。
「そういえば下地さんという国会議員がいましたね?」と話を向けると、「ああ、幹郎(みきお)な~」と、気安く呼ぶのでちょっと驚いてしまいます。
「あいつは2年後輩だったけど、やんちゃな奴で、まさか国会議員になるとはな~」と、下地幹郎元衆院議員と若いころからの知り合いだったみたいです。

関連してその運転手が言うには、俳優・タレントの上地雄輔さんは「かみじ」と読みますが、本来は宮古島がルーツの名前で、読みは「うえち」なのだそう。後でWikipediaを見たら、正にそういうことが書かれていて、「へえ~」と思った次第です。

とにかく、お会いする運転手さん誰もが、わずか数日間滞在するだけの自分たちに、伊良部島・宮古島の魅力をめいっぱいの言葉で教えてくれようとする、それがとっても楽しくありがたく感じた日々でした。