ついに独自展開に!「ペーパー・ハウス・コリア」はオリジナルを越えられるか? 教授の魅力度アップがカギ

Netflixでエピソード6までが配信された「ペーパー・ハウス・コリア 統一通貨を奪え」。
前回、エピソード2まで見終わって、オリジナルであるスペイン版との違いを指摘しました(「ぺーパー・ハウス・コリア」には”愛”が足りない!?)が、今回、エピソード6まで見て、ようやくオリジナルと明確に違う展開となってきたので、その相違点と今後のポイントについて考えてみました。

オリジナル版も含め、ドラマの内容に詳しく触れているのでご注意ください。

教授の逃走シーン ちょっと無理感が

前回、このドラマについて書いた時には、スペイン版に比べて恋愛要素が薄めで、それが魅力の弱さにつながっていると指摘しました。

そもそもが、南北が統一に向けて動き出した朝鮮半島という、架空の設定のドラマで、そこは非常に驚かされたところですが、これまでのところそれがうまく生かされているとは言えません。
対策チームの指揮官が南北それぞれから出ていて、当初は方針が対立したり、一方が単独行動をしたりもするのですが、何だか現実の南北関係が冷え切っている分、こちらは穏やかにしておこうということなのか、結構双方が遠慮している感じがしてしまうのです。

ストーリー的にも、オリジナル版を尊重したうえでのマイナーチェンジ感が強く、オリジナル版を見た人が、「え、これはどうなるの?」と新鮮なドキドキを得られるシーンはほとんどありませんでした。

オリジナル版から大きく変わったところで言えば、エピソード5から6にかけて、教授が、自分の指紋などが残っているであろう車を密かに掃除しようと廃車置き場に侵入するシーン。

オリジナル版・韓国版ともに、“教授の顔を知っている”女性捜査官が廃車置き場に乗り込んでくるので大ピンチに陥るのですが、オリジナル版では教授が変装して脱出、ギリギリで難を逃れます。
ここは「警察、間抜けすぎる」と思わなくもないですが、教授の機転がさすがという感じで、なかなか面白い場面です。

一方、韓国版では何と教授が、問題の車で逃走を始めます。
当然、女性捜査官たちは何台もの警察車両で教授を追跡。カーチェイスが展開されるのですが・・・ 
さすがにこれは無理があるでしょう。普通、これだけの警察車両に追いかけられたら逃げ切るのは不可能です。
オリジナル版では、セルビア人グループなど、強力な味方がいましたが、韓国版の教授にはそういう援軍はいなさそうです。かといって何らかの機転を利かせるわけでもなく、ただひたすら逃げ続けたあげく最後は川に飛び込んで、それでもなぜか逃走に成功するのです。

今回の韓国版の課題がこのシーンに現れているように私は思います。
要は「教授」に「天才さ」を感じられないのです。

ついに教授の作戦成功!新たな危機脱出できるか

思えばオリジナル版の教授も、かなり迂闊な人でした。
造幣局の中で大変なトラブルが起きている間、女性捜査官とのんきに時間を過ごしている、なんてこともあった・・・ような気もします。

それでもいざという時は、あっというような奇策を繰り出し、絶体絶命からの大逆転を何度も成功させてきました。突発で起きた危機のように見えるのに、実は事前の準備合宿のときから読んでいた展開通りで、「してやったり」というパターンもありました。

それに比べると韓国版「教授」は臨機応変さでも、事前準備の周到さでも、どうも冴えがないように思われます。
もともとオリジナル版に比べるとルックスも地味目な韓国版「教授」。
私などは「ペーパーハウス」という物語の魅力の半分近くは、「教授」という人間と彼の作った戦略の魅力にかかっていると思っているので、韓国版「教授」の魅力の薄さは、どうにも歯がゆい感じがしてしまうのです。

・・・などと思っていたら、エピソード6では思わぬ展開になってきました。
ベルリンが殺してしまったと思っていた潜入警察官が実は生きていて、それを利用して世論を味方につけるという作戦です。
これはオリジナルにはなかった独自展開ですね。

そして北朝鮮出身の捜査官が、バーのマスターを装った教授を怪しんで接触してきます。エピソード6は、そのシーンで終わるので、教授が果たしてこのピンチをどう乗り切るか、ここもオリジナルとは違う展開が期待できます。

ということで、ようやくオリジナル版のくびきを逃れて独自の展開に踏み込んでいきそうな韓国版「ペーパー・ハウス」。
次の配信を楽しみに待ちたいと思います。