「トップガン マーヴェリック」の破壊力! あの「スター・ウオーズ」が色あせる・・・ 1作目への思い入れゼロで見てみたら
正直、1作目の「トップガン」はリアルタイムで見ませんでした。当時は大学生で、一番映画を見ていた時期にもかかわらず、です。
正直、バカにしていたところがありました。主演が超イケメンのトム・クルーズ、彼が海軍のトップパイロットとして任務も恋も最大限がんばる、キラキラまぶしいハリウッド映画・・・というイメージで、とてもそれを見に行く気はしなかったのでした。
それから36年。私の中のトム・クルーズの印象は大きく、大きく変わりました。トム・クルーズに外れなし、と思うくらいほぼすべての出演映画を見てきました。
大きかったのは「レインマン」ですかね。「トップガン」からわずか2年後の名作です。
恐らく「トップガン」でトップスターとしての地位を確立し、作品・脚本を選べる立場になったところで、作品の良し悪しを見極める「目」というもの、その才能も開花した、ということなのでしょうね。
そして満を持しての「トップガン マーヴェリック」です。
私が一番参考にするYahoo!の映画評価点で5点満点の4.7点、これだけの人が見て評価して、この高得点はあり得ない。どれだけ面白いのか、大きな期待を抱いて見に行きました。
で、実際、最高の映画でした。演技も、脚本も、もちろんスケール感もすばらしい。
そしてこの映画は、戦闘機アクションの最高峰と私が思ってきた、あの「スター・ウオーズ」に対する見方まで根本から変えてしまいました。
そういうことも含めて書いていきます。
前作に続き恋愛パートは残念・・・
実は今回の新作を見に行くにあたって、1作目の「トップガン」を初めて見ました。
内容はかつて公開当時に想像していた通り、海軍の全面協力を得て、それをフル活用しての当時としてはすごいアクションだとは思いましたが、その迫力と、トム・クルーズの魅力、そして音楽に頼った映画だな、と感じました。
特に教官の女性との恋愛部分は・・・
これを前面に押し出したがために(ポスターもこのツーショット)映画の印象をだいぶ変えてしまったなと残念に思います。
この恋愛の展開が本当に取って付けたようで、トム(マーヴェリック)が親友を失って苦悩している時にも何もできないし、とにかく恋愛パートに全く魅力を感じられないんですよね・・・
というくらいの「トップガン」1作目に対する思い入れが薄い状態で新作を見に行ったので、例えばオープニングが1作目とおんなじだな~、などというのはわかりましたが、36年前に見た方たちとは懐かしさの度合いが違い過ぎて、そういう評価は難しいところがあります。
一方、強く思ったのは、やっぱり恋愛シーンがうまくないなぁということでした。
教官としてノースアイランドの「トップガン」に戻ってきたマーヴェリック、海辺のバーでペニー(ジェニファー・コネリー)と再会します。マーヴェリックは過去に彼女と何度か付き合ったことがあるという設定。久しぶりに戻ってきて、またよりを戻す・・・
どうなんですか、この展開?
確かに今回、ペニーはクビを告げられて諦めかけたマーヴェリックをけしかけ、それによって彼は一発逆転の策に打って出るわけで、前作に比べれば彼女の存在意義は大きい。とはいえ2人の愛が深まる展開は、あまりに典型的かつ陳腐であり、この恋愛ドラマが、これだけが、最高傑作映画のキズであるように私は思いました。
たぶん少数意見だと思いますが。
デス・スター破壊シーンが幼稚に見える
さて、クライマックスの戦闘機アクションのすばらしさは、これはもう見た人すべてが感じられることでしょうから、あえて詳しく触れません。
ただ、一部で指摘されているように、というか誰もが思うでしょうが、今回の重要ミッション・・・ 地下にあるウラン濃縮プラントにミサイルを落として爆破する、という任務は、正にスター・ウオーズ第1作「新たなる希望」のクライマックス、デス・スターの破壊シーンへのオマージュですよね。
ということで、これを機に、改めてスター・ウオーズのそのシーンを見てみましたが・・・
驚きました。何とちゃちな映像なんでしょう!
もちろんこの作品以降、CGはどんどん進化してきたし、スター・ウオーズシリーズも、新しくなればなるほど、戦闘機アクションは洗練化され、格好よくなってきたわけだから、当時の映像が古くさく見える・・・というのはあり得ることです。
とはいえ、最近のSF映画で出てくる最新映像技術を使った戦闘機シーンもしょせんCGだったわけです。
しかし「トップガン・マーヴェリック」。
本物の戦闘機を使って、曲がりくねった渓谷を進み(実際はある程度CGも入ってるんでしょうが)、ピンポイントでミサイルを落とす。
スター・ウオーズではデス・スターの溝を進んで、最後に2メートルの穴の中に爆弾を落とすわけですが、やっていることはほぼ同じでも見た目のクオリティとリアリティがここまで違うとは!
もはやこれはオマージュではない。
戦闘機アクションの金字塔、すべてのSF映画製作者が憧れ、目標とした(と勝手に決めつけますが)スター・ウオーズ第1作のデス・スター破壊シーンだったのに・・・
「トップガン・マーヴェリック」の制作陣は、このスター・ウオーズ信仰を破壊し、新たな伝説を作ろうとした、そうとしか思えません。実際、(トップガン1作目とは対照的に)当時あんなに夢中になったスター・ウオーズのクライマックスを、もうワクワクしながら見ることはできそうにありません。
これだけのスピードで飛んでいてGはかからないのかよ、とか(宇宙空間だからきっとGはかからないんでしょうけどね)あんなに一直線に進んでたら、もっと簡単にロックオンされるだろうに、とか、リアルさを最高レベルまで追求した戦闘機アクションを見てしまうと、幼稚ささえ感じてしまうほど・・・
これは、ちょっと悲しいことでした。
なんてことをしてくれたんだ、マーヴェリック!